イルカとナマコ

ここをご覧の方々は、1月17日の「国際イルカの事を考えないデー」(以下、イ考デー)をどのように過ごされただろうか。「イ考デーなんて知ったこっちゃねえ。俺はイルカの事を考えまくったぜ」というバンカラな人や「イ考デーの事を忘れて、うっかりイルカの事を考えてしまった」といううっかり者も居るかもしれないが、大抵の人はイルカの事を考えないように気を付けて過ごしたのでないだろうか。
俺が出入りするオフィスに勤めるカルロス(仮名)は酒とサッカー観戦が好きなごく普通の中年男性だが、彼は普段からイルカの事ばかり考えるという変わった癖があり、数年前から始まったイ考デーは頭痛のタネだった。そこで今年はちょっと変わったイ考デー対策を考えた。ナマコの写真をパーティションに貼っておき、イルカの事を考えそうになったときにナマコの写真を見るという方法だ。得意気にこの対策案を話すカルロスに「今度はナマコの事ばかり考えるようになるかもしれないぞ」と冗談半分で忠告したら「そのときはウミウシの写真を貼るさ」と言っていた。
カルロスのこの方法は結果的に功を奏し無事にイ考デーを乗り切ることが出来たのだが、このナマコの写真を巡ってちょっと不思議な出来事があったそうだ。

オフィスの同僚が俺の席を通る度にナマコの写真を見て「可愛いですね。お子さんですか?」と訊くんだ。変だろ?最初は冗談だと思って軽く受け流していたんだけど、あまりに多くの人が同じ事を言うんで段々不安になったぜ。「俺はそんなにナマコに似ているんだろうか?」ってね。
(カルロス談、以下同様)

もちろんそんな筈は無く(というかナマコに似た人など想像できない)、カルロスが貼ったのはごく普通のナマコの写真で間違っても人間の子供には見えない。また同僚が皆で共謀してカルロスをからかったのでもない。念のため断っておくがカルロスや同僚がナマコだったというファンタジックな話ではない。

スズヒコ、どうしてこんなことが起きたか解るかい?
俺はしばらく考えてやっと解ったぜ。

悔しいがさっぱり解らなかったので降参した。ビールを一杯おごるから答えを教えてくれと頼むと彼は快く教えてくれた。

うちの同僚がみんな「ナマコが可愛く見える病」にかかったのさ。

最低クイズだったとは!