トランプ


トランプのスート(ハート、スペード等のマーク)が4種類あるのは、古代ギリシャ四元素説=土・風・火・水が、初期のトランプではスートとして使われていた事に由来している。最も初期のトランプでは各スートの枚数は今より1つ少ない12枚で、ジョーカも無かったため、全部で48枚のカードしかなかった。12枚の内訳は現在の1〜10+JQKからジャックを取り除いたものであった。このため、Qは11、Kは12として使われていた。
後に古くから縁起の良い数として有り難がられていた49枚(7x7=49だから)にするために、ジョーカが付け足されるまでは、この48枚のカードが使われ続けた。
古代ギリシャ文明の多くを受け継いだ古代ローマでも、この49枚カードが使われていたが、帝政中期の執政官スキピオウスがゲームで負けそうになった際に、予備の空白カードに自らの肖像画を描き「これからはこのカードも加えることとする」と言いだしたため、各スートのカードが1つ増えてしまった。この執政官のあだ名であるヤクスがそのままカードの名前となり、現在のジャックに至っている。ちなみにヤクスとは負けず嫌いの意味。
以降、近代に至るまでカードの形態に変更は無かった。19世紀の中頃にイギリスで発売された砂糖菓子が4種類のパッケージで売られ、土・風・火・水の四元素をそれぞれのパッケージに描かれたハート・剣・三つ葉・ダイヤモンドに置き換えたトランプ13枚(一番高価なハートパックにはジョーカを加えて14枚)がおまけとして付けられた。つまり4種類のパッケージを買うとトランプが揃うという趣向になっていた訳だ。これが爆発的にヒットし、以降トランプのスートの定番となった。なお、この方法はおまけ戦略の元祖と言われ、現在でも食玩制作メーカーのオフィスにトランプが飾られているのはそのためである。
余談だが、武田信玄は四元素を風林火山に置き換えた数え歌留多(当時のトランプの和名)を使っていた。数字の部分は漢字で「壱〜拾、若、奥、殿」と書かれている。ジョーカは何故か「鬼」となっているのが面白い。