世界ペシミスト協会

現地の邦人向けミニコミ誌の取材で、ラパスにある世界ペシミスト協会の本部に行ってきた。
日本ではあまり知られていないが、この国は悲観主義者の聖地と言われるほどペシミスト活動が盛んで、20世紀の初めに衰退しきったと思われた悲観主義者達を「もう一度、心から『もう駄目だ』と言える社会を取り戻そう」のスローガンの元に盛り立て、今日の隆盛を取り戻す中心的役割を担った事から、1961年に世界ペシミスト協会の本部が置かれている。
取材に当たっては、申し込みの段階から常にネガティブな返事しかもらえず、苦労が絶えなかった。なにせ、日にちを決めるにも「その日は大雨だろうし、私(広報担当者)は昨日ひいた風邪が悪化して咳ばかりしてると思うので、そのつもりで来てください」と言われ、車を停める場所があるかと訊けば「そこら中に釘が落ちてるし、3日おきに車上荒らしがフロントガラスを割るから歩いてきた方が良いですよ。日射病になると思いますが」と言われるのだ。その日は大雨だろうと言ったくせに。
取材の最中も「床が滑るので今月中に見学者から怪我人が出て、この協会は訴えられるだろう」とか「掃除夫を雇ってもすぐに止めてしまう」とか「こんな資金状況では、運営が危なくなって解散するのも時間の問題だ」とか、とにかく後ろ向きな発言ばかりを聞かされた。
さすがにげんなりしてきたので、冗談半分に「さすが、ペシミスト協会の方は悲観的な事を言うのが上手ですね。サービスでやってるんじゃないですか?」と訊くと「また、その質問だ。私みたいな広報担当は一生気の利いた質問なんかされないに決まってる」と半泣きになっていた。
詳しくは<<月刊チチカカ 12月号>>をご覧ください。