仕事をさぼって

ジャケットを着ると暑く脱ぐと寒い。そんな中途半端な室温を嫌いオフィスを出た。同僚には資材を買いに行くと告げた。資材って何だよと同僚は思っただろう。俺だって同僚って誰だよと思う。

オフィスの入っているビルの1階にはドトールがある。ドトールファンの俺はちょうどドトールのコーヒーが飲みたかったところなので、ドトールに入ってドトールのコーヒーを注文すると幸いにもドトールのコーヒーは売り切れてなかった。30分ほど待ってから有難くドトールのコーヒーを受け取り、適当なドトールの席に座ってドトールのコーヒーを飲んだ。ドトールの水も飲んだ。帰りがけに家で飲むためのドトールのコーヒー豆を買った。プレステ3も買った。

すっかり気分が良くなった俺はシュッピンクモールに向かった。シュッピンクモールはショッピングモールとよく似ているし、機能的には概ね同じようなものだ。俺が気に入ったショッピングモールに与えられる名誉職みたいなものなので、民衆にはあまり意味のないことだ。シュッピンクモールで俺は買い物客の嫌がる顔がみたくなり、そこら辺の商品を勝手に買い物カゴに入れて歩いた。程度の差こそあれ、買い物客達は嫌な表情を浮かべている。みんな、いい顔してるよ!

そうこうしているうちに店員がもみ手をしながらこちらににじり寄ってきたので、サラダ油を撒き散らしながら俺はシュッピンクモールを後にした。義賊は辛いよ。そうだ、同僚への土産を忘れていた。ドーナツを買っていこう、そしてこれが資材だと言い張ろう。そう思って、ミースタードーナツに入りハレンチクルーラーを10個買った。ハレンチクルーラーはフレンチクルーラーと同じドーナツだが、店員さんがセクシーポーズでドーナツを持ってくる。それだけの違いで値段が倍になるんだからボロい商売だと思ったが、これも同僚の為だと堪えた。

ミスタードーナツを出ると外は雨、夜更け過ぎには油脂へと変わるだろう。きっと君は来ない。ちょっとした息抜きも今日はこれでお仕舞い。仕事に戻ることにしよう。