最低クイズについて

こちらの若者の間では「最低クイズ」というのが流行っている。例えば一番人気があるのは、こんな感じの問題だ。

標準的な都市に住むある若い女性(仮にキャサリンとしておこう)が昨日から急に多くの男性から「僕を怖い目で睨まないでください」と抗議されるようになった。抗議してきた男性の年齢はばらばらだが、あまりイケてない顔の痩せた男ばかりだった。彼らは皆、被害妄想を持っているとか自意識過剰という訳ではない。むしろ控えめな性格だ。また、彼らの間に繋がりはなく、彼らが結託してキャサリンを罠に嵌めようとした訳ではない。また、キャサリン以外の女性にはこのような現象は起きていない。
キャサリンはどうして「僕を怖い目で睨まないでください」と言われるようになったのだろう?

最低クイズが最低と呼ばれる所以はその答えにある。なので回答を真剣に考える必要はない。この問題の答えは「キャサリンは昨日から『イケてない痩せた男を見るとぶっ殺したくなる病』になった」だ。この問題には幾つかバリエーションがあって「怖い目」が「いやらしい目」や「片目」になったりするが、だいたいどれもこんな感じのどうでも良い答えばかりだ。私にはまったく理解できないが、こちらの若者はこのクイズでなぜかゲラゲラ笑っている。
先週ラパスの若者たちを取材した際に「スズヒコ、日本にはこんなクイズ無いだろ?」と言われたので、カチンと来て次のような問題を出した。

ショーグンの手紙を持って赤いニンジャと青いニンジャと黒いニンジャがエドを走ってた。途中、両手に大きな刀を持ったサムライがニンジャを切ろうとした。ニンジャはショーグンの手紙を守らなければいけないので、戦う訳にはいかない。赤いニンジャは煙幕を張って逃げ、青いニンジャはニンジュツで姿を消して逃げた。
サムライには一度使った方法は効かないが、黒いニンジャは他の逃げ方を知らない。黒いニンジャはどうやって逃げたか?

もちろん誰も答えは解らず、ラパスの若者たちは「スズヒコ、答えを聞かせろ」とせがんだ。そもそも最低クイズの答えをまともに考えるやつなど居ないのだ。俺が用意したこの問題の答えは「黒いニンジャは帰って寝た」だった。
もちろん大うけだった。