犬追物


犬追物は柵で囲われた体育館ほどの敷地に放たれた犬を追いかけ回す遊びで、鎌倉時代に源義吉がそれまで行われていた兎追物に物足りなさを感じて始めたと言われている。
犬に噛まれても怪我をしないよう簡易な鎧を着込んで走り回るため、大変に体力を必要とする。並の者であれば、数匹の兎ですら捕まえる事は困難であるが、犬追者と呼ばれる犬追物の参加者達は、100〜150匹の犬を追い回して捉えたと言う。
当初は素手で捉えていたのだが、捉える際の犬の負傷を防ぐ為に犬の頭に墨で印を付ければ捉えたと見なす「頭墨」と呼ばれる方式が一般的。最盛期には国中の犬の頭が黒くなるほど流行したと伝えられる。1549年日本を訪れたフランシスコ・ザビエルは、日本で見かける犬の頭がみな黒いことから、そういう珍しい種類の犬であると勘違いし、教皇に献上しようとしたと伝えられている。

余談だが、ボリビアにもかつて似たような遊びがあったとのこと。頭に印を付けるという点まで同じ。ただし、こちらは犬ではなくグアナコを追い回す。