テーマパーク

川柳では「唐衣 プロコルハルムに 似ているね」なんてことを申しまして、「青い影」を聴くと「fandango ってどんな団子だろうなあ」などとおかしな事を言うお調子者が必ず出てくるものでございます。先日もうちの女房が「あなた、うちもそろそろ海老団子かしらねえ」なんて珍しく艶っぽい事を言いやがる始末で、あたしもまんざらじゃなかったりして、つい。おほん。うちの話はともかく、いつの世も団子というのは何かと騒動の元となるものでございます。

「コンコン、コンコン」
「珍しいね、狐が来たよ」
「何、馬鹿なこと言ってるんですか。社長。入りますよ」
「馬鹿たぁ、ご挨拶だね。お前さんが『コンコン』なんて口で言うから悪いんじゃねえか」
「あたしの癖は社長もご存じでしょう。今更何言ってんですか」
「コンコン言ってる暇があったらホームランでも打ってりゃ良いんだよ。お前さんは」
「あいた。毎度の事ながら社長は厳しいね」
「お前さんの年俸を考えたら愚痴の一つも言いたくなるよ。ところで何の話だい」
「そうそう。社長、今日は良い儲け話を持ってきましたんですよ」
「お前さんの儲け話なんか当てになるかい」
「まあ、聞いてくださいな。聞くだけなら只でござんしょ」
「只、良い言葉だね。聞こうじゃないか。何だい?儲け話ってのは」
「テーマパークですよ。テーマパーク」
「駄目駄目。テーマパークなんざ腐る程あって、毎日のように潰れてんだから」
「それは、知恵が足りないからですよ。ベネズエラの言葉で言えばアイディアが無いから潰れるんです」
「アイディアはベネズエラじゃなくてもアイディアって言うだろう。いい加減だなあ」
「テーマパークと言うからには、何か良いテーマが無ければいけない。それなのに日本のテーマパークと言えば、どれもこれも客を寄せ付けないようなテーマばかりでござんしょ」
「まあ、こういっちゃなんだが、私も覚えが無いわけじゃないよ。でもそうやって大風呂敷をしろげるからには、客を呼べるテーマがあるってことだな?」

「そりゃあもちろん。ズバリ○○をテーマにしたテーマパークを作るんですよ」
「うひゃあ、そりゃ完全に伏せ字にしないと命が死んでしまう」
「キャラクタのデザインは藤子不二雄Aに頼みましょう。メインキャラクタはあそこんちの長男坊をモデルにした『○○くん』にするんです」
「死ぬ、絶対死ぬ」
「『○○くん』は○○ランドの王子ってことで」
「死ぬ、絶対死ぬ」
「お供は『××××』『×××』『×××』」
「死ぬ、絶対死ぬ」
「『××××』は『○○くん』のパパなんです」
「死ぬ、絶対死ぬ」
「『×××』はちょっと元気がない」
「死ぬ、絶対死ぬ」

「どうでしょう?こんなテーマパーク」
「お前さんはベネズエラ人だから分かんないだろうけど、この国じゃ絶対無理」
「あ、ひとつ肝心なことを忘れてました」
「これ以上何かあるのかい?」
「今度はお茶が怖い」